慢性腎臓病とは

慢性腎臓病(CKD)は、腎臓が正常に機能しなくなった状態が、長期間にわたって進行する病気です。院長は病院勤務の際、多くの慢性腎臓病や透析患者様の治療を行ってまいりました。生活習慣病と腎臓病は密接な関係があるため、末期腎不全に進行しないような管理を徹底したいと考えております。
腎臓は体内の老廃物や余分な水分を排出し、血液をきれいに保つという重要な役割を果たしていますが、腎機能が進行するとこれらの機能が低下します。
原因
原因は以下のように生活習慣病によるものが多いですが、はっきりとしないこともあり腎生検など精密検査が必要となることもあります。
- 高血圧
- 糖尿病
- 喫煙
- 肥満
- 薬剤(NSAIDsなど)
- 糸球体腎炎、ネフローゼ症候群
など
症状
初期段階では自覚症状がほとんどなく、検査で偶然発見されることが多いため、定期的な検査(採血・尿検査)が重要です。進行すると、むくみや疲労感、高血圧、頻尿、尿量減少、吐き気などの症状が現れ、放置すると腎不全に至ることもあります。
合併症
慢性腎臓病に気づかずに放っておくと、尿を体外に排出することができなくなるため、透析が必要となります。主な合併症としては以下のものがあります。
- 高血圧
- 余分な塩分や水分を排泄できず高血圧となります
- 貧血
- エリスロポエチンという腎臓で作られるホルモンが低下し腎性貧血となります
- 骨粗鬆症・骨折
- ビタミンDや老廃物の蓄積により骨が脆くなります。
- 心血管疾患
- 体内に水分が溜まりやすくなることで心臓に負荷がかかり、カルシウムやリンの代謝異常により血管の硬化が起こります
- 二次性副甲状腺機能亢進症
- 腎機能が低下し、血液中のカルシウムやリンの代謝異常が起こることで副甲状腺が刺激され、線維性骨炎などの症状を起こします
そのほか筋力低下(サルコペニア)や精神異常など様々な合併症を起こしますので注意が必要です。
治療
治療は、食事療法や生活習慣の改善、薬物療法が中心となります。特に、塩分やたんぱく質の摂取量を制限することが重要で、医師の指導のもとで適切な食事管理を行うことが求められます。また、高血圧や糖尿病の管理も慢性腎臓病の進行を遅らせるために不可欠です。早期発見と適切な治療によって、慢性腎臓病の進行を遅らせ、腎不全に進行するリスクを減らすことができます。腎臓は再生しない臓器であるため、少しでも早く治療を開始することが重要です。