形成外科とは

形成外科は、主に体表面の変形や異常などに対して、その形態や機能をより正常な状態に近づけるための診療科です。
日常生活の中では、けがややけど、手術などさまざまな原因により皮膚が損傷を受けることがあります。その結果として傷ができ、傷跡が残ることもあります。形成外科では、そうした傷や傷跡をできるだけ目立たないように、元の状態に近づけていきます。
また、皮膚や皮下の腫瘍(できもの)に対しては、機能や形態をなるべく損なわないように外科的治療を行います。生まれつきの体表面の変形や異常も、治療の対象となります。
このような方は当クリニックの形成外科へご相談ください
- 切り傷や擦り傷ができた
- 生じた傷に対して、丁寧な縫合処置を行い、できるだけ綺麗に治したい
- やけどをできるだけ早く目立ちにくく治したい
- 手術による瘢痕(はんこん)や、以前にできた目立つ傷跡をより目立たなくさせたい
- ケロイドの進行を食い止めたい
- ほくろを取り除きたい
- 皮膚や皮下に生じた腫瘍が気になる
など
傷と傷跡
皮膚を損傷すると、切創・擦過創・裂傷・熱傷(やけど)・咬傷などによる傷が生じ、その後に傷跡として残ることがあります。
治療では、傷の状態に応じて、洗浄や薬剤の塗布、ガーゼや被覆材などの適切な保護材を使用するなど、創傷処置を行います。傷口が開いている場合には、縫合処置が必要となることもあります。
感染を予防しつつ、早期に適切な処置を行うことで、傷跡をできるだけ目立たなくし、元の状態に近づけることが可能になります。また、傷が上皮化して傷跡になる過程においても、適切なケアを行うことで、より目立ちにくい仕上がりを目指します。
けがをされた際は、早めにご来院いただくことが望ましいですが、以前のけがによる目立つ傷跡に対しても治療を行っています。たとえば、傷跡が盛り上がってケロイドや肥厚性瘢痕になってしまった場合や、手術痕が目立つといったお悩みにも対応しております。お気軽にご相談ください。
やけど(熱傷)
やけどは、高温のものや化学物質などによって皮膚が損傷した状態を指します。具体的な原因としては、やかんの熱湯や蒸気、油、ガスコンロやストーブの炎、アイロンなどが考えられます。症状は損傷の深さや範囲によって異なり、一般的には赤み、腫れ、痛み、熱感、水ぶくれ、皮膚の変色などが現れます。
やけど(熱傷)は、主に3つの段階(I度~Ⅲ度)に分類されます。
最も軽度なI度のやけどは、表皮にのみ損傷が及び、数日で自然に回復することが多いです。
II度のやけどは真皮に達しており、水ぶくれができたり、強い痛みを伴ったりすることがあります。II度の中でも深い部分にまで及んでいる場合には、跡が残ることもあります。やけどの状態に応じて、適切な軟膏などの外用薬を使い分けながら治療を行います。
III度のやけどは、表皮や真皮を超えて脂肪や筋肉などの皮下組織にまで損傷が及びます。大きな病院での入院治療が必要となることがあります。
皮膚や皮下のできもの
皮膚には、血管系腫瘍(血管腫)、リンパ系腫瘍(リンパ管腫)、ほくろ(色素性母斑)、あざ(母斑)、いぼ(疣贅)、アテローム(粉瘤)などが、皮下には脂肪腫、神経鞘腫などの多種多様なできものがあります。こうした皮膚や皮下に生じる良性あるいは悪性の腫瘍が、形成外科の主な治療対象となります。
外科的な切除が適応となる場合、形成外科ではできるだけ機能や形態を損なわないよう、最善の治療を行います。また、術後の瘢痕がより目立ちにくいものとなるように、形成外科的な縫合法を行い、適切な時期で抜糸を行い、抜糸後のケアを指導します。なお、また、外科的に腫瘍を切除した場合には、摘出した組織を病理組織検査に提出し、確定診断を行うことが可能です。
なお、腫瘍のサイズが小さく、視診にて良性腫瘍であることが明らかな場合には、炭酸ガスレーザーを用いた治療が可能なこともあります。※現在準備中(自費診療)です。
巻き爪・陥入爪
足の爪の両端が内側に湾曲した爪の変形を「巻き爪(弯曲爪)」と呼びます。とくに足の親指で生じることが多いですが、ほかの指でも同様の状態が見られることがあります。
また、爪の端が肉に食い込み、炎症を起こすと「陥入爪」に進行することがあります。爪の周囲の皮膚が化膿すると腫れが生じ、それによってさらに爪が食い込み、悪循環に陥ります。次第に痛みが強くなり、最終的には歩行困難を引き起こすこともあります。
治療では、まず炎症を抑えるための処置を行い、必要に応じて爪の部分抜去を行います。根治手術として、外科的に陥入している爪とその爪母を除去する方法もあります。
眼瞼下垂
眼瞼下垂は、まぶたが正常な位置よりも下がっている状態を指します。これにより上方が見えづらくなり、眉を上げて額にしわを寄せる癖がつき、目の疲れや肩こり、頭痛の原因となることがあります。また、あごを上げて見ようとする方もいらっしゃいます。眼瞼下垂の進行をそのまま放置すると、視力に影響を及ぼす場合もあります。
原因は、加齢によることが最も多く、先天的な要因やほかの病気(顔面神経麻痺や重症筋無力症など)が原因で起こることもあります。
治療では、治療では、一般的にまぶたの状態や重症度に応じて、まぶたの皮膚や筋肉の切除や腱膜を瞼板に固定する手術が行われます。ほかの病気が原因の場合は、まずその病気が落ち着いてから手術をします。なお、重症度から「眼瞼下垂症」と診断された場合は、保険適用の治療対象となります。
逆さまつ毛
逆さまつ毛は、まつ毛が正常の方向とは逆に生えている状態を指します。この状態により、まつ毛が目の表面や結膜に接触し、目の異物感、痛み、充血、流涙、目やになどが起こります。眼球の表面が傷つくことで、視力に影響を及ぼすこともあります。
子どもの場合は、生まれつきのまぶたの形やまつ毛の状態によって引き起こされますが、成長に伴い自然に改善することもあります。しかし、若年や成人になってもまぶたの内反が残り、逆さまつげの症状にお困りの方も多くいらっしゃいます。また、加齢によってまぶたが緩んで生じることもあります。
治療において、点眼薬は炎症や一時的な症状の緩和に役立ちますが、根本的な治療としては、まつ毛の根元付近のまぶたを一部切除して形を整え、まつ毛の向きを変える手術が一般的です。